COLUMN 「ユッケ、レバ刺しに続いて他の内蔵も生食規制か?」

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「生食用として提供される食肉等に関する検討について」

かくなる検討が厚生労働省内で現在進められている。これは同省の薬事・食品衛生審議会の中にある「食品衛生分科会乳肉水産食品部会」において進められている検討事項であり、この部会は平成24年の牛レバーの生食規制、平成23年の牛生肉規制を審議した部会の後継である。我々牛肉フリークにとって、ユッケの規制やレバ刺しの禁止は非常に辛い決定であったが、某焼肉チェーン店でのユッケによる食中毒事件では5人もの死亡者と多数の重症者が出たこともあり、また牛レバーについてはその内部から腸管出血性大腸菌(O157)が検出されたこともあり、それら規制も致し方ない部分があることは否めない。しかし検討はそこで終わったわけではなく、生食用として提供される食肉全般について現在も検討が進められているのである。最新では去る8月2日に部会が開催され、現在厚生労働省のHP上でその議事録が公開されている。

以下に主要部分の要約を記載する。

<これまでの経緯>

生食用の牛肉と肝臓、馬肉と肝臓については平成10年にガイドラインを定め都道府県を通じて指導を行ってきた。同時に政府公報等を通じて、食肉の生食を控えるよう周知を行ってきた。しかし平成23年4月にユッケによる食中毒事件が発生したことを受け、等部会で検討した結果同年10月に食品衛生法に基づく規格基準を策定した。また牛の肝臓については、その内部から腸管出血性大腸菌が検出されたことを受け、業界団体からの意見も聞きつつ食中毒を防ぐ方法を検討したが、現時点では見つからないということで平成24年7月に生食用の販売を禁止した。牛肉と肝臓、馬肉と肝臓以外の食肉等の生食については、今後の検討課題とした。それから、牛の肝臓については放射線照射による殺菌等の研究を進め、新たな知見が得られれば、本部会にて再検討する。

<現在の課題>

一部地域で豚レバーが生食用として提供されている実態がある。自治体からは十分な監視指導を行う為に、他の食肉の生食についても法的根拠に基づく規制導入を要望する声があがっている。消費者の一部や関係業界からは、食肉の生食が不可能になるような規制は厳しすぎるという声もあるため、食中毒等を抑えて食肉を食べる方策を検討していく。

<検討の方向性と内容>

既に規制されている食肉以外について検討を進める。今年度は牛の肝臓以外の内蔵について早急に検討する。生食用としての提供実態、関係業界のリスク低減への取り組み、汚染実態、食中毒の発生状況などをもとに、食肉等のリスクの大きさに応じて適当な対応方法を検討していく。対応方法については、ガイドラインの徹底、規格基準といった従来通りの方法のほかに、食品自体のリスク低減措置以外の方法も検討する。例えば生食用として食肉等を提供している事業者をあらかじめ把握する方法や、消費者がリスクを理解した上で選択できる表示方法、さらに食品とリスクについて国民的理解を向上させる方法など。概ね3年を目途に食肉等の種類ごとに順次検討していく。

<各委員の意見>

牛肉と肝臓、馬肉と肝臓以外の食肉についても、それぞれのリスクを十分に理解し、リスクの大きさに応じた対応を検討していく必要がある。そのためにリスクを判断できるデータの整理を進める。また現在どのような提供のされ方をしているかの実態調査も進めていく必要がある。また消費者に対するリスクコミュニケーションの方法についても十分に検討していく必要がある。

 

ビーフ・ラボが注目するのは以下の2点。

・  放射線照射実験の状況

・  レバ刺し以外の内蔵類の規制の見通し

特に後者に関しては、年度内になんらかの結論が出されるようなので検討の推移を注視したい。

人が食べるものである以上、安心・安全は最優先すべき視点であることは確かだが、どんな食品においてもゼロリスクはあり得ない。牛肉の内蔵の刺身を、長年にわたって事故なく提供しているお店だって存在する。つまりリスクをコントロールできる可能性はあるわけだ。幸いにして危ないから即禁止というような短絡的な議論はされておらず、どうやったらリスクを減らせるか、それでもなおどんなリスクが存在するかをどうやって消費者にコミュニケーションするかなどを検討していくとされている。まずは今後とも建設的な検討が行われることを期待する。ただし検討部会の委員の発言の中には、肉の生食は日本の食文化でないなどという意見もみられるが、文化の範囲を誰かが決めるなどということほど恐ろしいことはない。少数意見や少数の希望をできるだけ汲み取ることが成熟社会の要件のはずだ。文化か否かはさておき、生肉を食べたい人がいる、その欲求にきちんと答えてきたお店がある以上できる限り規制しない方向で結論が出ることを切に願う。ビーフ・ラボではこの検討部会の動きを引き続き注視しつつ、適宜状況をご報告していこうと思う。


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