COLUMN 「傍聴記:食肉等の生食に関する調査会」
12月26日に厚生労働省において、第1回目となる「食肉等の生食に関する調査会」が開催された。これは同省の薬事・食品衛生審議会の中にある「食品衛生分科会乳肉水産食品部会」の下に設置された分科会であり、
(1)食肉等の種別ごとのハザード、リスク等の整理
(2)既存の規制手法以外の対応方策を含め、リスクの大きさに応じた対策の検討
(3)その他、食肉等の生食に関する事項
について検討を進め、その結果を前述の部会に報告するものである。食品衛生研究機関、医師会、食肉業界、大学教授など13名の委員で構成されている。
以前の記事でもお伝えしたが、厚生労働省は食肉等の生食は食中毒の危険性がることから基本的には避けるべきという立場の下で、これまでも様々な普及啓発活動や規格基準を策定してきた。生食用の牛肉とその肝臓、馬肉とその肝臓については平成10年に提供方法に関するガイドラインを策定。その後平成23年4月にユッケによる食中毒事件が発生したことを受け、同年10月に食品衛生法に基づく規格基準を策定した。また牛肝臓については、その内部から腸管出血性大腸菌が検出されたことを受け、平成24年7月に生食用の販売を禁止した。そして現在、牛肉と肝臓、馬肉と肝臓以外の食肉等の生食について継続検討がなされている。
この調査会では、食肉ごとの
●危害要因の性質等
●流通量
●リスク低減策
という3つの視点からリスクの大きさを図り、それに応じた規制の在り方やその手法を検討していくが、今回は第1回目ということで危害要因についての検討がなされた。詳しい資料や議事録などは後日厚労省のHPにアップされると思うのでそちらをご覧いただきたいが、牛内臓に関しては、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌の2つが分析対象となるようだ。前者に関しては、その原因となる料理としてハツ刺しが、後者に関しては生センマイが報告されていたので、今後の検討次第ではこの2つの料理に関しても何らかの規制が施される可能性がある。その他の食肉では、豚のレバー刺し、鳥刺し及び内臓の刺身あたりが検討の中心になりそうだ。
次回は流通実態について検討が行われる。