第1回「和牛甲子園」

<初の「和牛甲子園」が開催>



平成30年1月18~19日に東京食肉市場で開催された第1回「和牛甲子園」をレポートする。

「和牛甲子園」はJA全農が主催し、全国の農業高校等で和牛を飼育している”高校牛児”たちと、彼らが育てた和牛(枝肉)が集まり、出品枝肉の肉質評価と日頃の取り組み内容の体験発表が合わせて行われ、その総合評価で優勝校を決める大会。今回が初の開催で、大会には全国8県から15校が参加し、21頭が出品された。参加高校は以下の通り。
水沢農業高等学校(岩手)
遠野緑峰高等学校(岩手)
矢板高等学校(栃木)
那須拓陽高等学校(栃木)
鹿沼南高等学校(栃木)
宇都宮白楊高等学校(栃木)
栃木農業高等学校(栃木)
中央農業高等学校(富山)
飛騨高山高等学校(岐阜)
加茂農林高等学校(岐阜)
相可高等学校(三重)
出雲農林高等学校(島根)
唐津南高等学校(佐賀)
鶴翔高等学校(鹿児島)
鹿屋農業高等学校(鹿児島)

(以下農業共同組合新聞の記事より抜粋)
最優秀賞に輝いたのは岐阜県立飛騨高山高校。出品した枝肉は31か月齢の雌牛。血統は父「白清85の3」、母の父「光平福」、母の祖父「安福」で出荷体重は645kg、枝肉重量は450kgだった。格付けはA5等級で競りの結果、1kg3505円の高値がついた。肉質審査は優秀賞だったが日頃の取り組み内容の体験発表と合わせて総合評価で最優秀に選ばれた。同校は授業の一環として肥育に取り組んでいるそうで、出品した雌牛を育てた同校3年の加藤大地さんは「牛の体調や血液検査の結果などを見て、すばやく対応することを心がけてきました」と細かな観察を大切にしてきたと話した。ともに育ててきた同3年の林実佐子さんは「力を合わせて2年半育ててきた牛が好成績を残したことはうれしい。出品したことで課題も分かりました」と喜びを話した。指導した安藤都教諭によると生徒たちは獣医はもちろん、地域の農家にも相談しながら育ててきたといい、2人とも土日に農家に研修に出向くこともあるという。卒業後は2人とも農業系の大学、大学校に進学し、将来は畜産関係の仕事に就くのが志望。大会ではワークショップや他校との交流の機会もあり2人とも「刺激を受けたし、勉強になりました」と話した。なお、肉質審査の最優秀賞は鹿児島県立鹿屋農業高校が受賞した。農業高校は全国で306校あり、そのなかでも畜産学科がある34校を中心に授業やクラブ活動で高校生が和牛を飼育している。

<熱気あふれるセリ場>
午前9:00過ぎ。目利きのプロである肉の買受人の方々が待つ東京食肉市場のセリ場に高校生たちが育てた枝肉が入ってくる。枝肉情報がアナウンスされ、電光掲示板のセリ値が動き出す。すると高校生たちからの「よろしくお願いします!」という掛け声とともに、高値での落札に願いを込めて「わっしょい!わっしょい!」というコールが場内に響き渡る。両手を握りしめて電光掲示板の値動きを見つめる”高校牛児”たちの緊張と興奮が、こちらにもヒシヒシと伝わってくる。何名かの高校生にインタビューしたところ、学校によって畜産への取り組み方は様々で、授業の一環で取り組んでいたり、部活動という位置付けで取り組んでいる学校もあった。繁殖から肥育まで一貫して行なっている学校もあれば、もともと繁殖しかやっていなかったが、この大会が開催されることになり初めて肥育に取り組んだという学校もあった。子牛のお産などは深夜に始まることもあるが、そんな時は担当の先生や地元の農家の方々に手伝ってもらっているらしい。実家が畜産農家という生徒さんもいれば、動物好きが昂じて畜産を学んでいるという生徒さんもいた。”高校牛児”たちの熱気が、東京食肉市場のセリ場に充満した一瞬だった。

<プロも認める肉質>
買受人である株式会社吉澤畜産の吉澤社長に高校生たちが育てた肉の感想を伺ったところ「全体的にレベルが高かった。弊社でも何頭か買い付けしたが、ご祝儀含みとはいえプロでもちゃんと買える肉だった。特に去勢は重量、体型、肉のキメや締まり、脂の色や質などよくまとまっている肉が多かった。」とのこと。この大会の素晴らしいところは、日頃の畜産の取り組み発表や枝肉の格付けにとどまらず、ちゃんとプロによる買い付けまで行われるところ。学校での勉強の成果が、値段という目に見えるカタチで、社会で評価される。高校生たちの真剣さも増すはずだ。また同じような志を持つ同世代の仲間との情報交換や交流の場として、お互いに刺激を受けることも多いと思う。これからもこのような大会が継続されることを切に願う。

<大会概要>
日時 : 平成30年1月18日(木曜日)~19日(金曜日)
場所 : 東京食肉市場(東京都港区)
参加校数 : 15校
出品頭数 : 21頭
審査方法 :(1)出品牛枝肉の肉質評価 (2)体験発表会(取りくみ内容)→(1)と(2)の総合評価で優勝校を決定
主催 : 全国農業協同組合連合会(JA全農)
後援 : 東京都、全国農業高等学校校長協会、日本学校農業クラブ連盟、全国高等学校農場協会、(公財)全国学校農場協会、東京食肉市場(株)、全国農業協同組合中央会(JA全中)、JA全農ミートフーズ(株)

文責:所長(小川素直)