COLUMN 「シリーズ ”和牛クライシス” ②」
前回和牛の枝肉価格が異例の動きを見せていることをお伝えしたが、その要因を考察してみたい。
一つにはアベノミクスによる景気回復基調に伴う、牛肉の需要回復が考えられる。家庭における牛肉の消費動向を調べてみると、
※JACCネット
残念ながら今年のデータがまだ1月までしか公表されていないため、昨今の枝肉価格との相関関係はわからない。ただ2013年と比べて2014年の牛肉価格は上昇しており、その影響か消費金額は増加しているが、消費量は若干減少している。
次の要因としては、アメリカからの輸入牛肉の減少、その穴埋めのために国産牛が使われている可能性がある。このアメリカからの輸入減少は、アメリカ西海岸の港湾労働者の労働争議に伴う物流の混乱が原因だ。
※(独)農畜産業振興機構
確かに輸入量が大幅に減少している。特に今年に入ってからの減り方が凄い。これによって国内の牛肉量が一時的に不足し、その代替え品として国産牛肉の需要が高まったと想像できる。
さらには最近和牛の海外進出を進めている影響で、国内向けの出荷量が減少していることなどが短期的な枝肉価格高騰の原因として考えられる。
しかし、これら以外にもっと構造的な原因が“和牛”を取り巻いているのではないか。
次回以降は、この和牛を取り巻く構造的な課題について考察していきたいと思う