COLUMN 「シリーズ ”和牛クライシス” ①」
“和牛クライシス”
少々センセーショナルなタイトルを付けてしまったが、いま”和牛”を取り巻く環境は厳しさを増している。
まずはこちらのデータをご覧いただきたい。
※JACCネット「畜産統計トピックス」(2014年度1~3月期は速報値)
これは東京市場で取引されている、和牛・去勢・A4の枝肉1kgあたりの卸売り価格の推移だ。2012年度は1kgあたり平均1,703円だった枝肉の価格が、2014年度速報値ベースの年度平均ではついに約2,000円(小数点1位四捨五入)となっている。2012年度比で実に117%の値上がりだ。しかも月別の推移をご覧いただきたい。毎年12月の年末需要に向けて価格は上昇するが、年が明けると下落するのが例年の値動きだ。しかし今年は年が明けても価格が下がるどころか若干上昇すらしている。1月から3月までの価格はなんと前年比で120%超で推移している。異例の事態だ。
ただし我々消費者サイドでは和牛価格の上昇がそんなに実感として表れていない気がする。ということはつまり、どこかの部分で流通サイドから我々消費者への価格転嫁が進んでいないことを意味する。逆ザヤが発生している可能性もある。
この数字の背景でいったい何が起こっているのだろうか。
BEEF-LAB.comでは、これからシリーズで和牛を取り巻く環境の厳しさについて、公表されているデータや情報をもとにレポートしていきたいと思う。