BREED 和牛巡礼vol.3 「神戸井相田牧場」

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兵庫県加古川市の山道を車で進んでいくと、今回の目的地である神戸井相田牧場が突然現れる。周りを木々に囲まれた牧場は、小鳥のさえずりは心地良く聞こえるのどかさがある。
神戸井相田牧場では、兵庫県産但馬牛と他県産でありながらも比較的但馬の血統が強い素牛を導入して肥育している。肥育されている兵庫県産但馬牛は、雌もいるが比較的去勢中心。その去勢を松阪牛や近江牛と食べ比べした時には、今までの去勢に対する概念を壊されるようなその深みのある味わいに驚かされた。雌、去勢、とその性別だけで判断できないという良い勉強にもなった。やはり性別はもちろんだが、肥育方法も重要な味を決める要素なのだ。また、他県産の黒毛和牛の中でも但馬血統の強い雌牛は播州牛というブランドで出荷されている。
播州牛の定義を簡単に言うと、4等級以上で月齢29ヶ月以上の雌牛。雌牛に絞ったブランドというと有名どころでは松阪牛、米沢牛も移行段階であるが、この播州牛も既にそれらに並んで厳しい条件が課されているのだ。
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牧場主の井相田さんとは2日に渡って色々なお話をうかがう事ができたのだが、全国の種雄牛・血統に対する見識が深く、素牛の導入に力を注いでいる事がその言葉の端々から伝わってくる自分の経験と集めた情報から目星を付け、そして自分の目で素牛を見て確認しセリで落札するわけである。こうして兵庫県内外から集められた優秀な素牛達だけが神戸井相田牧場へやってきて肥育されるわけだが、その牧場にも驚かされる。牛舎は木造で温かみを感じる造り、そして床にはこまめに交換されているであろうフカフカのオガクズが敷かれ、牛達は気持ち良さそうにくつろいでいる。牛達は角の尖った先端部分のみが切除されていて、牛舎の中でお互いに怪我をする危険を軽減されている。また、牛達は非常に人懐っこく、私が手を出すと、旨そうな黒タンを動かしながら寄ってくる。井相田さんの拘りは素牛の仕入れ、清潔な牛舎だけでなく、飼料を見ればその細部にまで至っている拘りを感じる。勿論、その拘りの全てを短い時間でうかがうことはできなかったが、それら全てが融合し、あの味わいを作り出しているのだろう。
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神戸井相田牧場の神戸牛・但馬牛については神戸でのセリなのでなかなか東京では購入できないが、嬉しいことに播州牛は東京への出荷が多いそうだ。この播州牛の仕上がりは”吉澤畜産”の吉澤社長も認めるところであり、”吉澤畜産”でセリ落とした播州牛が、銀座や築地の精肉店”吉澤”で購入する事ができる。ほとんどの部位について生産者情報まで表示している拘りの精肉店“吉澤”で井相田さんの播州牛を見つけた際には、ぜひその深い味わいを感じて欲しい。