COLUMN 「傍聴記:第2回食肉等の生食に関する調査会」

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去る3月17日(月)に「食肉等の生食に関する調査会」が開催された。第2回目となる今回は

●生食される食肉等の流通実態

●食肉等のリスク低減措置等

について関連業界や自治体からの報告を聞き、議論が行われた。

ちなみに「食肉等の生食に関する調査会」とは、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の中にある「食品衛生分科会乳肉水産食品部会」の下に設置された分科会であり、

(1)食肉等の種別ごとのハザード、リスク等の整理

(2)既存の規制手法以外の対応方策を含め、リスクの大きさに応じた対策の検討

(3)その他、食肉等の生食に関する事項

について検討を進め、その結果を前述の部会に報告するものである。食品衛生研究機関、医師会、食肉業界、大学教授など13名の委員で構成されている。

>「食品衛生分科会乳肉水産食品部会」に関する過去記事はコチラ

>第1回の「食肉等の生食に関する調査会」に関する過去記事はコチラ

まずは流通量の実態把握ということで、全国の自治体に対して行った、2013年12月25日時点での生食用食肉の提供実態を把握するためのアンケートの結果が報告された。

14.4.3 アンケート1厚生労働省「生食用食肉等の提供に関するアンケート結果」から抜粋

詳しくは厚労省のホームページをご参照いただきたいが、馬や鶏については全国的に一定量が飲食店で提供されており、また馬は販売店でも全国的に販売されており、鶏の販売は九州が中心だ。牛に関しては胃や心臓を中心に全国の飲食店で提供されており、豚に関しては肝臓や胃を中心に、主に関東地方の飲食店で提供されている。これ以外の獣畜・食鳥の生食用食肉の流通量はかなり少ない。馬や鶏の生食が特に九州地方で多く見られるなど、この結果については我々一般消費者の感覚とも概ね合致するのではないだろうか。かつて出張で訪れた宮崎や鹿児島などでは、普通のスーパーで生食用の鶏肉が販売されていた。生食が地域の食文化として根付いているのだろう。これに関連して委員の一人から以下のような発言がされた。曰く、文化には良い文化と悪い文化がある。また肉の生食は文化と言うがせいぜい明治以降に広まった文化であるとのことだ。文化の良し悪し云々などという視点を持っていること自体驚きだが、明治期以降に広まった文化だから大した文化ではないというような発言にも驚いた。現在日本が国を挙げて国内外に発信しているマンガ・アニメ文化のことはどう位置付けるのだろうか。

続いて各業界団体が会員に対して行ったアンケート結果の報告が行われた。この中で外食産業の業界団体である日本フードサービス協会から出された調査結果の中に面白い項目があった。

14.4.3 アンケート2厚生労働省 食肉等の生食に関する事業者の取組等についてアンケート調査結果(一般社団法人 日本フードサービス協会)より抜粋

これも2013年の12月に実施されたアンケートなので、こちらで記載されている正肉に関しては恐らく個食パックによって提供されていると思われるが、色んな種類があること、そして値段が高いことが興味深い。

>個食パックに関する過去記事はコチラ

>個食パックに関連する焼肉ビジネスフェアの過去記事はコチラ

次にリスク低減策の検討ということで、まずは本委員会の座長も務められている東海大学海洋学部水産学科食品化学専攻教授の山本茂貴氏から内臓肉の衛生管理に関する研究の報告が行われた。牛の腸管内には腸管出血性大腸菌をはじめとする食中毒菌が存在しているが、腸管内に存在する食中毒菌は生体時には肝臓などには感染しないそうだ。つまり屠畜後に2次感染する可能性が高いとのことで、山本教授は牛内臓処理施設の衛生管理について調査研究を行っている。

14.4.3 アンケート3厚生労働省 内臓肉の衛生管理に関する研究 より抜粋

こちらも詳しくは厚労省のホームページをご参照いただきたいが、水洗の回数と水の管理が菌数減少には有効そうだ。その他いろいろと興味深い資料が提出されているので、ぜひとも厚生労働省のホームページでご確認いただきたい。

次回第3回目が本調査会の最終回となり、食肉ごとのリスクの大きさ、検討の優先順位、規制方法などが検討され、その結果が「食品衛生分科会乳肉水産食品部会」に報告されることになる。(文責:所長)

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